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第2話  

しかし、遺体を処分する際に、思わぬ出来事が起こった。

聡は、その女性の遺体が妊娠していることに気づいたのだ。

彼はさらに、女の腹部に焼け焦げた傷跡を見つけた。

彼がいつも灯りを消して私と寝るようにしていた。それは私のこの顔が彼を不快にさせるからだった。

だが、それでも私の身体には十分に慣れていたはず。

私の腹部には、父がタバコの火で焼きつけた痕がある。

聡はベッドでそこにキスするのが好きだった。それを「梅の花みたいだ」と言い、神から与えられた私だけの印だと語っていた。

それなのに今、彼はその馴染み深い梅花の烙印を目にしても、わずかに一瞬だけ驚いただけで、迷うことなく私を硫酸の池に投げ捨てた。

不思議だな、私はすでに死んでいるのに。

それでも、身体が硫酸で溶かされるとき、私はその胸を刺すような痛みを感じた。

特に、聡の冷淡な目つきを見た瞬間、私は思わず問いかけたくなった。

聡、これが私だと分かっていたの?

それとも、最初からこうするつもりだったの?

「どこの家の娘か知らんが、妊娠しているのにバラバラにされるなんてな……」聡の背後で、薫が幽かにため息をついた。

聡は少し間を置いたが、何も気にせずに笑い飛ばした。

「闇市に売られるような人間だ、誰にも見捨てられた存在だよ。誰も気にしやしないさ」

なんてことだ。誰にも見捨てられた、誰も気にしないなんて。

その短い言葉は、まるで私の無意味で虚しい人生そのものを言い当てられたような気がした。

聡、あなたにとって、私もそのような存在に過ぎなかったのね。

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